いくつになってもハツラツと元気に過ごしたい。
誰もがもつ願いを叶えた素敵なシニアたちが通う場所が、神戸駅の近くにあるらしい…。
そんな噂を聞いて、さっそく突撃取材へ行ってまいりました!
その場所とは、60歳以上限定のeスポーツ施設・ISR e-Sports。
一体、どんな場所なのでしょう?ドキドキです。
シニアがスポーツ?
なんだかプレイするにも教えるのにも体力いりそう〜!
それって体力がある特別な人がやるものじゃないの?
なんて思っている人もいるかもしれませんが、大丈夫です。
eスポーツは、エレクトロニック・スポーツの略。コンピュータなどの「対戦型ゲーム」をスポーツとして捉える際に使う名称です。
実際に体を動かすスポーツと違い、年齢や性別、体型や障がいの有無も関係なし。むしろ誰もがスグに同じように楽しめる、これこそシニア世代にeスポーツがピッタリな理由です。
とはいえ、シニア世代にゲームって、あまり馴染みがないのでは?という疑問を抱えつつ、ISR e-Sportsの扉を開きました。
部屋の中にはゲーム用のPCが6台。料金はひとり1,000円の完全予約制で、90分のプレイタイムと30分の休憩で2時間滞在できます。
ゲームに不慣れなシニア世代も気軽にはじめられるように、スタッフがゲームのはじめ方やプレイ方法など、丁寧に指導してくれるので誰でも安心して参加できるのだそう。
「家にパソコンがないので、なにをしていても新鮮で楽しいの!」
「週に1〜2回は来ているよ」
どなたもとーっても楽しそう!
ご夫婦でeスポーツを楽しんでいる人や、90歳近くなってからゲームをやりはじめてハマって通っている人など、ISR e-Sportsにはリピーターになってしまう魅力があるみたいです。
これはきっと、なにか秘密があるに違いない!
その秘密を探るべく、合同会社ISRパーソネル代表社員の梨本浩士(なしもと こうじ)さんにお話を伺いました。
梨本さんがISR e-Sportsを立ち上げたきっかけは、定年後のシニアがかかえる問題点を、eスポーツが解決に導いてくれるのではないかと感じたからだそうです。
ふむふむ……。いったいどういうことか、詳しくお話を伺ってみましょう。
「日本人って、職場の中でつながった人間関係が強くて、退職後にそれが途切れてしまうことが多いと思うんです。それによって孤立しがちという問題があります。そこで新しいコミュニケーションの手段として、世間で話題となっていたeスポーツはどうかと考えたんです。
シニア専用のeスポーツ施設にすることで、オンライン上だけでなく施設の会員同士もコミュニケーションが取れて、社会的な孤立を避けられます」
「もうひとつは、健康寿命をいかに伸ばしてゆくかという問題です。eスポーツは頭を使うので認知症予防をサポートできます」
「あと、定年後には雇用の問題もありますよね。シニア人材派遣に登録していただいても、資格がない方は紹介できる仕事が少ないという現実があります。
今、eスポーツの需要は伸びていて、将来的に雇用が生まれる可能性のある市場だと考えます。その時、eスポーツをやったことがある、知っているというシニアにはそれだけでチャンスがあるんです。
eスポーツは、資格やこれまでの経歴も関係なくはじめられます。たとえば、専業主婦で外での仕事をしてこなかったという人も、資格があってバリバリ仕事してきた人も、同じラインからのスタートです。つまり誰にでも等しく可能性があるんです。
これならばシニア世代の雇用が広がりますし、その雇用がないなら自分がつくっていきたいと考えています」
「利用者さんは、これまでゲームをしたことがないという方やパソコンも触ったことがないという方が多いんです。でもゲームって、上手くてもそうでなくても楽しいんですよ。
勝ち負けにこだわるというよりも、ゲームする時間そのものを楽しめる。はじめてゲームをする人も、何度もやっている人も、ゲームの話題で一緒に楽しめます」
お話を聞いていて思い出したのは、子どもの頃にはじめて家庭用テレビゲーム機で遊んだ時の感動。
ゲームの世界に素直に驚いて、興奮して、ワクワクして。
つまりシニアのみなさんが感じてらっしゃるのは、あの時のあの感覚ですよね!めちゃくちゃ共感できちゃいます!!
「ゲームの話ができるようになって、お孫さんとの距離感が一気に縮まったという利用者さんもいらっしゃいますよ」
家庭内でのコミュニケーションが活発になるという利点もあるんですね。
eスポーツの可能性って無限大なのかも!
ゲーム終了の時間になるとチャイムがなり、クールダウンタイムと呼ばれる休憩時間へ。感染症対策を徹底したスペース環境で、コーヒーを飲みながらオフラインでの談笑を楽しみます。
せっかくなので、クールダウンタイムでみなさんからお話を伺ってみました。
「家でゲームをするって人もいるけど、つい夜中までやって疲れちゃうんですって。ここなら、そんな心配もないからいいわよ」
誰かが教えてくれれば、隣からすぐに合いの手が入ります。
「ココはゲームできるだけじゃなくて、お茶まで飲めちゃうしね。外でお茶するより、うんと安いわよ!」
コロナの影響で旅行にも行かれず、なにもしていなかったという利用者さんは笑顔でこう話してくれました。
「頭を使わなきゃできないものや、じっくり時間をかけて考えるもの、瞬発力が必要なものなど、いろいろな種類ができて刺激があるのよ」
お話を聞いている間にも、他の利用者さんのゲームの結果に「すごい!2000点超えたの?」「えー。早いね!」と盛り上がります。
「ここに来れば、みんなとワイワイ楽しみながらゲームができるの。ひとりでモクモクとやるよりずっと楽しいのよ」
「施設内でeスポーツをやりたいという相談も多いのですが、設備を整えようとするとお金がかかってしまいます。通信環境の問題もありますし、小さな施設ではすぐに用意ができないんですね。
まだまだ課題は多いですが、キッチンカーみたいな感じでできたらいいなとか、イベントができたらいいなとか、なんとか実現できる方法はないかを考えています」
今回取材して感じたのは、全体に漂うHAPPYな空気が素晴らしい!eスポーツの楽しさはもちろんですが、このパワー溢れる空間で過ごす時間が楽しくてみなさんリピーターになるんだなぁと感じました。
同じ空間で、同じものを楽しんで、その後にみんなでおしゃべりができる、コミュニケーションの場として最高の環境ですよね。シニア×eスポーツ、最強です!
実はABC朝日放送をはじめとした、大手メディアに多数取り上げられていらっしゃるそうなのですが、お話をお聞きして、なるほどその理由がわかった気がします!
私も早く60歳になって仲間に入りたぁ〜い!
お話を聞かせてくれた梨本さんとeスポーツプレイヤーのシニアのみなさん、本当にありがとうございました。
取材協力:合同会社ISRパーソネル
今回ご協力いただいたISRパーソネルさんでは、e-Sports事業のほかにも、キャリアアップに資する教育訓練やリーダー育成などの副業推進支援を行っています。
2022年4月1日公開/2024年4月2日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)