2019年11月から少しずつ活動をはじめ、今では月に1000人以上が利用しているという兵庫県尼崎市にある大庄元気むら。地域の新たな集いの場として利用者の口コミで認知度が広がっている人と人がつながる空間では、いったいどんな活動をしているのでしょうか。運営委員代表の村瀬さんと事務局長の増本さんにお話を伺いました。
大庄元気むらは元々、生活協同組合コープこうべが運営するスーパーマーケット「コープ大庄店」でした。1980年のオープンから約40年間、地元住人に親しまれていたそうです。
しかし、業績不振により、コープ大庄店は2019年9月に閉店。営業終了後、この建物を活用して何かできないかととコープこうべより地域住民に提案があり、話し合いが重ねられ、地域の集いの場として再出発することになりました。
今も昔も「コープさんとこ」の愛称で親しまれている大庄元気むらでは、定休日の月曜日を除いて毎日サークル活動やイベントを開催。10時から17時までの開館時間には、親子連れから高齢者まで幅広い世代の地域住民が訪れます。
大庄地区は、尼崎市の中でも高齢化率が高い地域で、一人暮らしの高齢者が多いと言われています。
「コープこうべがあった頃は、一日に数回買い物に行ってご近所さんとのおしゃべりを楽しんでいた方が、スーパーが無くなってからは家に引きこもって誰とも関わらないようになってしまったという話を聞いて、このままでは同じように孤立してしまう人が増えるのではと懸念を抱きました」
このままじゃ、アカン。地域の交流の場を作ろう!と、コープこうべさんの提案により地域の皆様と協議して、大庄元気むらはスタートしました。
「コープこうべさんのモットーは 『愛と協同』。コープこうべさんと私たちの考えに共感してくださり、共に地域の活性化のために取り組んでくれています」
運営委員の村瀬さんと増本さんはそう教えてくれました。
いくつかのブースに分けられた開放的な建物では、どのような活動がされているのでしょうか。写真とともに巡ってみましょう。
机や椅子、ホワイトボードなどがあり、イベントやサークル活動、運動に使われています。
私たちが訪れたときは体操が行われていました。元気な笑い声に、こっちもにっこり。
現在、サークルの数は40を超えているそう!ストレッチや絵手紙、プログラミング教室など日々さまざまな活動が行われています。
入り口から入ってすぐのスペースにはたくさんの本棚とテーブルが。自由に本を読んだり、ちょっとおしゃべりを楽しんだり。イベントやサークルに参加しなくても、空調の効いた空間で気軽に一休みできちゃいます。
1日10人以上の小学生が放課後に遊びに訪れ、宿題をしたり本を読んだり卓球をしたりして過ごしているそうです。地域の目があるので、親御さんも安心ですね!
これからはもっと小さな乳幼児期の子どもが過ごしやすいように囲いを覆ったスペースを作る案もあるのだとか。世代を超えた交流の場として、可能性は広がるばかりです。
普段はサークル活動や団らんの場として使われていますが、月に一度、地元のお店やパフォーマーに声をかけて大きなイベントをしているそうです。8月に行われた夏祭りには200人、去年のハロウィンイベントにはなんと400人もの人が訪れたんだとか!毎月のことなので、運営委員会は大忙し。それでも、代表の村瀬さんはとても充実した様子でイベントの準備を行っていました。
「できるかぎり地元大庄のお店や人に声をかけて参加してもらっています。今コーヒーを飲みながら話をしているこのカフェにも何度も出店してもらっているし、元気むらで受付をしてくれているサポーターさんもボーカルとしてバンドで演奏してくれてるんですよ。元気むらでの活動を通じて地域の輪が広がり、この3年間で仲間がたくさんできました。はじめての人でも入ってきやすいように、元気むらの入り口としてこれからも続けていくつもりです。」
いつもはコープこうべの建物で活動していますが、元気むらを飛び出して大庄の町に繰り出すことも増えてきたそうです。みんなでトングを持って大庄地区のゴミ拾いをしたり、観光家の陸奥賢さんをお招きして町歩きをしたり。
「これからもっと元気むらを飛び出した活動もしていきたいですね。今はバスツアーをしたいという意見が出ているので、実現させたいなと考えています。月に一度、誰でも参加できる『つどい場会議』を開いてこんなことがしたいと意見を出しあっているのですが、そこで出た提案はできる限り実現させていけるようにみんなで行動しています」
と村瀬さんは教えてくださいました。何でも前向きにやってみる、大庄元気むらのパワーの源が垣間見えました。
1日に50人、月に1000人以上に利用されている大庄元気むらですが、まだまだ認知度を上げることが目下の課題だといいます。
「まだスーパーだと思っている人もいますし、大庄元気むらの存在を知っていても会員じゃないと入れないと思っている人もいます。誰でも利用できる地域交流の場なことをもっとたくさんの人に知ってほしいです」と増本さんは語ります。
大庄元気むらが目指すのは、世代を超えた繋がりが作れる場所づくり。地域の人と顔見知りになって、積極的に外に出たくなる元気な町づくりが目標です。
「一人でさみしく家でお昼ご飯を食べていたけれど、ここに来たら話せる人がいる。食事が楽しくなった」と話す利用者さんもいらっしゃるそうです。そんな人がもっと増えたら、素敵ですよね。
一人ではなく、地域のみんなと過ごす時間を生きがいにーー。そんな地域づくりに貢献している素晴らしい取り組みの数々だと感じました。
大庄元気むらの活動はFacebookで紹介されていますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。大庄地区以外の方の参加もOKですよ☆
大庄元気むらFacebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100057075205152
11月のイベントの企画中にお話を伺ったのですが、大庄元気むらの運営委員のみなさんの顔の広さにびっくり!次から次に地元のお店やアーティストの方の名前が出てきて、地域との絆の深さが感じられました。
一人一人が繋がれば、大きな力になっていく。これからますます活動の幅を広げるであろう「コープさんとこ」の今後が楽しみです。私もハロウィンイベントに遊びに行こうかな♪
【この記事を書いた人】
尾西 美菜子
印刷会社の企画編集部門でライターとして働いたのち、医療業界へ転職。現在は歯科助手として働きながら、フリーライターとしても活動する。趣味は御朱印集め、サッカー観戦、読書。
X(旧twitter) @minako_writer
2023年10月18日公開/2023年10月17日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)