介護の現場にピカピカの爪と笑顔をとどけたい!日常を彩る「福祉ネイル」って?

介護の仕事といえば、どんなものが思い浮かびますか?実は今、とーっても注目を集めている仕事があるんです!
それは、高齢者や障がい者の施設などを訪問し、その人に合わせたネイルをしてくれる福祉ネイリスト!!

美しく変身した自分の爪をみて、高齢者の方が笑顔になったり元気が出たり。

なんだかとっても素敵な仕事の予感がビシバシと…!

福祉ネイリストってどんな仕事?

でも福祉ネイリストって、具体的にはなにするの?
福祉ネイルと普通のネイルはなにが違うの?
福祉ネイリストにはどうやったらなれるの?
ぶっちゃけ仕事としてはどんな感じなの?

素敵な予感はするけれど、わからないことだらけの福祉ネイル。
ならば、わからないことは聞いちゃえばいいじゃないか!

ということで、日本保健福祉ネイリスト協会丹波支部・大西綾子さんに詳しく教えていただきましたー!

サロンのネイルとなにが違うの?

大西さんが福祉ネイリストという仕事と出会ったのは、旦那さんの出身地である丹波に引っ越してきたのがきっかけ。人口の4割が高齢者と聞いて、その方達のために何ができるかを探していた時に、福祉ネイリストを知ったのだそうです。

ーー 大西さんは15年間ネイリストを続けていらしたわけですけど、福祉ネイルとの違いってなにかありますか?

大西 まったく違いますね!福祉ネイルの場合は心のケアを意識して行うのでお話がとても重要なんです。たとえば回想法を取り入れたりとか。
ファッションとしてのネイルというよりも、心と身体の健康のためにネイルをするというイメージです。

日常を彩り爪と心のケアをする

爪って、鏡をみなくても見える体のパーツなんですよね。
サロンでネイルしてもらった時って、意識していなくても日常生活の中で目に入るので、気持ちがめちゃめちゃあがるんですよ。

というか、自己肯定感も爆上がり!!

それは高齢者の方も同じこと。翌日に自分の爪を見て「あぁキレイだな。昨日塗ってもらったんだっけ。楽しかったな」と思い出してくれるのだとか。

昔の記憶はハッキリ・昨日の記憶は残りにくい高齢者にとって、これは素晴らしい効果なのでは?!

ーー 利用する方は女性が多いですか?

大西 女性が多いですけれど、男性もいらっしゃいます。爪をピカピカにしたり、マッサージをしたり。ご本人が希望する色を塗ることで、認知症の症状改善が期待できる場合もあります。

女性はアートが多いです。サンプルをお持ちして希望をお聞きします。季節に合わせたアートもありますよ。

娘だと思って話してくる利用者さんも

10月はハロウィンのアートを楽しんだ人も多かったそうです。指先に季節を感じるアート、毎日がとっても楽しくなりそう!

ーー 施術する時に気をつけていることはありますか?

大西 刃物は使わないようにしています。血液をサラサラにする薬を飲んでいらっしゃる方もいるので。認知症の方が飲み込んでしまうと危ないので、水性のマニュキュアを使っているネイリストさんも多いですね。

ジェルネイルは使わず、速乾性に優れたマニュキュアを使うようにしています。時術時間は20〜30分以内。長く座っているのがツライ方も多いので。

あと、私たちを娘とか家族とかだと思い込んでしまう人もいらっしゃるんです。そういう時は、同意するのか否定するのかを施設の方と相談しながら決めていきます。

福祉ネイルで認知症予防も

心のケアだけでなく、心身の特徴や状況、介護や認知症ケアを踏まえて施術するのが福祉ネイルなんですね。

​​​​実は認知症の方のケアに用いられるコミュニケーション「ユマニチュード」のすべてが、福祉ネイルに詰まっているんです。

ちなみに「ユマニチュード」は、「人間らしさを取り戻す」という意味のフランス語の造語。ますますネイルの力ってすごいのかも?!という気持ちになっちゃいます!

ユマニチュードとは「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を基本としたフランス発祥の認知症ケア技法。実践するための「5つのステップ」では、出会いから再会の約束までを経験できるような手順で行う。

職業としての福祉ネイリスト

お話を聞いていると、とっても魅力的な仕事に思えますが、なんとなく難しそうな気も…。福祉ネイリストになるのに資格は必要なのでしょうか?

福祉ネイリストは誰でもなれる?

ーー 福祉ネイリストはやはりネイリスト出身の方が多いんですか?

大西 いろいろな方がいらっしゃいますよ。作業療法士さんや看護師さん、もちろん元ネイリストの人も。仕事も年齢もさまざまだし、女性も男性もいます。現在は全国で約1,200人の福祉ネイリストがいます。

福祉ネイリストに資格は必要?

福祉ネイリストになるには、まず日本全国に40校以上ある認定校で、21時間のカリキュラムを受講、卒業試験に合格する必要があるそうです。その後、実地研修を経てディプロマ(認定証)を取得という流れ。

大西 21時間のカリキュラムをしながら並行して自主練を続け、卒業した後にも技術は各自で練習して高めてゆく感じです。(各自でといっても)年に4回のアートセミナーや協会主催の勉強会もありますし、情報交換のオンラインセミナーもあり、フォローアップの体勢が整っているので安心です。

他にも年1回研究集会をおこなっています(現在はオンライン開催)。
ご視聴頂くと、その研究集会の抄録冊子をいただけたり、抄録冊子を購入することもできます。

福祉ネイリストの働き方

卒業した後は、福祉ネイリストとして独立。会社に属するわけではなく、個人として活動することになるということは…。

業務委託契約先やメニュー、料金設定、副業か本業かなど働き方はすべて個人に任されている、つまり自由度は高いけれど責任も大きいということ!ドキドキです。

ーー 営業はどういった感じでやっているんでしょう?

大西 ネイリストによってやり方は違いますけど、私は無料体験会をしたりしていますね。やっぱり実際に体験してもらうと、効果が目に見えてわかるので。その時に福祉ネイルの効果についてまとめられた論文などを持っていって説明したりします。

協会が実施している営業力を身につけるためのオンラインセミナーもありますし、兵庫県丹波校ではテキスト(大西さん作成!)もご用意しています。

ーー 最後に福祉ネイルについてメッセージをお願いします!

大西 ネイルというと若い女性のものというイメージがあります。けれども福祉ネイルの場合はそれだけではありません。心身の健康のためにネイルをする、その効果をぜひ体験していただきたいです。

たとえば、おばあちゃんやおじいちゃんって、自分から「ネイルをやりたい」とはおっしゃらないと思うんですよね。そこでお子さんや家族、近所の方とかがプレゼントであげるのもいいと思います。

現役の福祉ネイリストさんにお話をうかがいました

卒業すると個人での活動になる福祉ネイリストという仕事。高齢者施設だけでなく、障がい者施設や個人の方と契約している人もいるそうです。

どんな仕事をするのか、自分で考え行動する!
責任も大きいけれどめっちゃやりがいがありそうです!!

実際にバリバリと現役で活動されている福祉ネイリストさんは、どんな場所でどんな思いで仕事をしているのが、気になりますよね!

気になったら…やっぱり聞いちゃえばいいじゃないか!!ということで、現役の福祉ネイリストの井口美咲さんにお話を伺いましたーー!

祖父の認知症がきっかけでした

もともと医療メイクに興味があり、個人的にネイルも大好きだったという井口さん。福祉ネイリストという職業を知った時「興味を持っていることが掛け算されている!」と感じたそうです。

井口 祖父が認知症から介護が必要になった時、自分にはなにができるのだろうと考えるようになりました。そんな時、PCを開いたら「JHWN福祉ネイル」というワードが目に止まったんです。

すぐに資料を請求して、子どもが保育園に通っている時間に通いました。

福祉ネイルを知ってほしい!

現在は福祉ネイリストとして、デイケアやホーム、地域のコミュニティーセンターなどを中心に活動している井口さん。今は新たな問題に直面しています。

それは福祉ネイルというものが、まだあまり知られていないという現実…!!

井口 まずは福祉ネイルを知ってもらう、そのために地域のコミュニティーセンターや子育てセンターなどで爪のお話とお手入れ教室などを開催しています。

笑顔とありがとうを受け取って

もともと自分が大好きなネイル。その力で利用者さんを笑顔にできるかも、心が元気になってくれるかも…と感じたことが、井口さんが福祉ネイルをやってみようと思ったきっかけでした。

その思いこそ、福祉ネイルの持つ力です!

井口 福祉ネイリストとしての一番の喜びは、なんと言っても利用者さんの笑顔と「ありがとう」です。

介護業界を諦めない

最後に、これから福祉ネイリストも含めた介護の仕事を志す人たちへのメッセージをいただきました。

井口 介護業界はこれからも永久に人の手と愛(心)が必要だと思います。相手を思い、心を配る毎日の中で、自分が疲れていることに気がつかなくなることもあるかもしれません。

それでも介護業界を諦めない、という強い信念を持ち続け、お互いに労り高め合っていきましょう!

広がる福祉ネイルの可能性

変化の少ない日常生活の中、ネイルをすることでQOL(Quality Of Life=生活の質)を上げる効果があるという福祉ネイル。

福祉ネイリストについて説明してくれた大西さんは、こうも語っていました。

「介護スタッフの方は本当に忙しい日々を過ごしています。私たちが福祉ネイルをしている時間は、介護スタッフの手が空くことになるんですよね。介護業界の人手不足の対策に少しですが貢献できていると思います」

福祉ネイリストって、利用者さんだけでなく、その家族や施設で働く人たち、みんなに笑顔と癒やしを与える仕事なのでは?!

今まで知らなかった福祉ネイルの世界、知れば知るほど奥が深いです!

福祉ネイルってすごいよーー!
むっちゃ無限の可能性を感じるよーーー!

お話を聞かせてくれた大西さんと井口さん、本当にありがとうございました!!

協力:一般社団法人 日本保険福祉ネイリスト協会(JHWN)
   日本保健福祉ネイリスト協会認定校 兵庫丹波校【ネイルスクール necoputti ネコプティ】
   77℃ Misakinail

おまけ

取材の様子をインスタに投稿してくださいましたー!

2021年11月13日には福祉ネイルを体験できるイベントも開催されました♪