外国人介護職員の本音と施設の取り組みとは?現場のリアルな声を聞いちゃおう!

最近は、多くの外国人が介護施設で働いているのをみるようになりました。外国人の受け入れを検討している施設も増えてきていますが「言葉の壁が不安」「文化の違いがわからないから」と心配している人も多いかも?!

外国人介護職員や一緒に働く日本人のリアルな声を聞きたぁ〜い!そんな叫びがあちこちから聞こえてきそうです。

これは実際にお仕事をしている方たちにお話を伺うしかない!ということで、介護の現場で直撃インタビューしてきました〜。

今回ご協力いただいたのは、「グループホーム松風の郷」で働く職員のみなさん!

実際に日本で働いている人にお話を聞いてみました!

最初にお話を伺ったのは、3年前にネパールから来日し、現在は介護の仕事をしているタマン・サジタさんです。

ー介護の仕事をしようと決めた理由を教えてください。

「ネパールの日本語学校で勉強をしている時に、介護の仕事があるのを知って興味をもちました。小さな頃から、自分のおじいさんやおばあさんと一緒にいたので年配の人がとても好きです。だから介護の仕事をやりたいなと思っていました」

ー実際に日本で介護の仕事をしてみてどうですか?

「食事や入浴の(介助をする)仕事をしていますが、わからないことがあれば教えてもらえるし、仕事はとても楽しいです」

ー日本とネパールでは生活する上での違いもあると思いますが、苦労していることはありますか?

「とても暮らしやすくて苦労はないです。お給料にも満足しているし、病院や買い物も近くにあるので日常生活も楽にできます。仕事が楽しいのも嬉しいです」

満面の笑みでこう話すタマンさん。「仕事が楽しい」と繰り返す言葉はとっても嬉しそうで、本当に楽しんで仕事しているのがめちゃめちゃ伝わってきます!

ー日本語は難しいですか?

「漢字は難しいですね。わからないことを、職員さんに聞いて教えてもらったりします。仕事をしていくうちに新しい言葉を覚えられるのがいいですね」

ー食生活はどうでしょう?

「日本は食べものが美味しいです。お寿司は食べられないけど(笑)唐揚げが好きです。あとね、日本はお菓子がとっても美味しい!」

ネパールへ帰っても介護の仕事を続けたい

ネパールと日本では生活習慣や食文化も大きく違うけれど、タマンさんは「日本はとても暮らしやすい」と笑顔で答えてくれます。

それはきっと、今いる場所や今あるものをそのまま素直に受け止めて対応しているからなのかもしれません。そんなタマンさんの柔軟さは、まさに介護の仕事にピッタリ!

ー介護の仕事をするという目標が叶った今、将来の夢はありますか?

「最終的にはネパールで介護の仕事がしたいです。ネパールには日本のような介護施設はあまりありません。日本で勉強したことを生かして、自分でネパールに介護施設を立ち上げたいと考えています」

ーネパールでは介護の仕事は少ないんですね

「そうなんです。ネパールの日本語学校の友達には、日本で介護の仕事をしている人もたくさんいます」

日本で介護の仕事を経験した後の進路はさまざま。日本に残って介護の仕事を続ける人やネパールに戻って介護の先生をする人、タマンさんのように介護施設をつくりたいと考えている人もいます。みんなそれぞれの夢をもって、日本で介護の仕事をすることを目指しているのだそう。なんて素敵!

終始にこやかにインタビューを受けていたタマンさん。その優しい笑顔に癒されている利用者さんがたくさんいるんだろうなぁと感じました!

施設の雰囲気が変わったと感じます

タマンさんとお仕事をされている、河村友香さんにお話を伺いました。

ー外国人のスタッフが来ると聞いて、最初はどう感じましたか?

「外国人のスタッフと仕事をするのが初めてだったので、正直、不安はありましたね。言葉とか文化の違いとか。でも実際に来てもらったら、なにも心配はありませんでした」

ー利用者さんとの会話はどうですか?

「タマンさんは言葉遣いが優しくて、むしろこちらか見習わないといけないと感じることが多くあります。利用者さんも不安になることなく楽しく過ごされているようです」

施設の雰囲気が変わったと感じます

ー緒に働いてみた印象はどんな感じですか?

「タマンさんは、いつもとても穏やかで優しい笑顔で利用者さんに話しかけています。タマンさんの優しい雰囲気って、まわりの空気も穏やかになるんです。なんとなく、施設の雰囲気が変わったなと感じますね」

実は、タマンさんにインタビューしていても空間が優しく穏やかになるのを感じていました。「年配の方が好きだから介護の仕事がしたかった」と語っていたタマンさんの優しさが、ジーンと伝わってくるからなのかも!

ー日本人との違いを感じることはありますか?

「真面目で熱心だという印象です。たとえば、言葉遣いの研修というのがあります。『待っててね』ではなく『少々お待ちください』がいいと教わっても、私たちはつい忘れてしまう。けれどもタマンさんは、終わった後にすぐに現場で取り入れているんです。
わからないこともすぐに聞いてくれて、教えたことを理解しよう、実践しようとしてくれるので、こちらも教えがいがあります。」

ー外国人を採用しようと考えている施設さんへメッセージはありますか?

「あまり身構えずに、自然な気持ちで受け入れるとよいと思います。仕事への姿勢や態度は、こちらが刺激を受けることも多く、自分ももっと頑張らなくてはという気持ちになります。施設の雰囲気も変わるので、来ていただいて良かったなと思うのではないでしょうか」

外国人ということを意識しすぎない方がいい

最後に施設長の西村さんにもお話を伺いました。

「これまで外国人との接点がなかったので、どう接したらいいのかなど心配はありました。けれども実際に話してみたら、まったく問題なかったですね。
介護の仕事というのは、体力的な面だけでなく精神的にも大変な部分もあります。けれども、伝わらなくてイラッとしてしまうかな?と思うような場面でも、タマンさんは穏やかに接してくれます。利用者の方も普通に受け入れていて、あらためて心配する必要はなかったなと感じました」

ー仕事を一緒にする上で気をつけていることはありますか?

「権利を守るという点は意識しています。とくに宗教の違いなどもあるので、自分たちの基準だけで決めつけたりしないようにと。あとは言葉をシンプルに伝えることも大切ですね。短い言葉でわかりやすく伝えた方が理解しやすいと思います」

ーコミュニケーション上の悩みはありますか?

「言葉の問題はほとんどありませんでした。ただ、行事の説明とかは難しかったです。たとえば、出し物でタヌキがでてくるのですが、そもそもネパールにタヌキという言葉がないんですよ。
言葉がすべて伝わっていると思わない方がいいと思います。相手の雰囲気をみていれば、相手が理解しているかはわかるので、何度も繰り返して伝えてあげることも必要かなと。大回りになっても気長に考えて向き合うのがいいのではないでしょうか」

ー日本人とは違う魅力というか、すごいなと感じる部分はありますか?

「そもそも、自分の国から出て日本で働いていること自体がすごいことですよね。仕事では、決められたことや教えたことをキッチリやってくれるので、すごいなと思いながら安心して任せられるし、とても信用しています」

ー外国人を採用しようと考えている施設さんへメッセージはありますか?

「外国人ということを意識しすぎない方がいいと思います。今うちの施設には2人の外国人介護職員がいますが、それぞれでタイプが違います。一人ひとり違うので工夫が必要です。それは日本人でも同じですよね。
とはいえ、言葉の壁は多少はあります。相手の動きをみて理解していない時には、こっちの伝え方が悪かったかなと気付いたり、自分自身を振り返る機会にもなります。自分たちにとっても良い刺激になりますよ」

今回、インタビューをしてみて、タマンさん本人はもちろん、一緒に働く人たちも、生き生きと新しい環境を楽しみながら仕事をしている姿が印象的でした!外国人介護職員は、施設に新しい風を運んできてくれる素敵な存在なのかもしれません。

お話を聞かせてくれたタマンさんと河村さん、西村さん本当にありがとうございました!!

グループホーム松風の郷」のInstagramには職員のみなさんと利用者さんの交流も掲載されています!是非チェックしてみてくださいね♪

2022年11月28日公開/2024年4月2日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)