利用者さんの「はたらく」を応援!支援員のお仕事とは?

身体や心に障がいを持っている方の就職や、働くことを支援する就労支援施設。耳にすることはあっても、具体的にどんなことをされているのか、また職員さんはどんなお仕事をされているのかを知りたくて、小野市にある就労支援事業所・宿花(よみはな)さんに伺いました!

利用者さんと一緒にお仕事しながら支えるお仕事!

サービス管理責任者の向江さんにお話をうかがいます!

-支援員さんはどんなお仕事をされているんですか?介護とはちがうのかな?とか、そのあたりの理解が曖昧で。

デイサービスなどの通所介護に近いイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、就労支援は利用者さんの「はたらく」を支援するところです。また、就労支援には利用者さんにスキルを身につけてもらい、お仕事を探す支援を行う就労移行支援と、生産活動を行う就労継続支援とがあります。私たちの提供するサービスは後者で、ひとつのサービスではありますが、仕事(生産活動)をしてもらう場であるというところが介護と大きくちがうところです。

一般的な事業所では障がいに対する配慮を受けられないなどの状況を抱えた利用者さんに「はたらく喜び」を持ってもらうために、利用者さんの特性を把握した上で、私たち支援員も一緒に同じ仕事をしながら支えるというイメージです。

-利用者さんと同じ作業を行うんですか?

そうです。うちの場合、うどん屋、たこ焼き屋、菓子工房、農園など複数の事業があるのですが、それそれの仕事を理解し、作業を教えることができるようになってもらいます。

サービス業が中心なので経験してみないと教えることはできないし、楽しいこともしんどいことも共有してもらいたいんです。

支援員さんにも向き不向きがあるので、そのあたりを経験してもらうこともより良い支援につながるのではないかと思います。

-支援員さんもひとりの人間ですものね。向江さんはもともと福祉のお仕事を?

私はもともと看護師として働いていて、福祉は未経験のまま宿花に入職しました。

就労支援どころか療育などのこともよくわからずでしたね。配慮ということに対しても過剰に考え過ぎるなど、失敗と反省の毎日でした。今でもそうですけど(笑)。

-支援員さんにとって大切なことは何でしょうか?

障がいに対する配慮は必要なので勉強はすべきですが、配慮と特別扱いは別物だという意識が必要ですね。作業が滞った場合などにはしっかりと注意するなど、ここには仕事をしに来ているのだという意識を持ってもらうようにしないと。

私たちも人間なので、言い方などの判断を間違うこともあります。だけど、間違いを恐れないことが大切です。

重要なのはその後。スタッフみんなでフォローの方法を考えるために、少しでも気にかかることがあれば共有して話し合うようにしています。管理者としてスタッフが話しやすい空気づくりが大切だと考えています。

働き方のちがい?就労支援A型、B型って?

就労支援には雇用契約を結ぶA型と、結ばないB型とがあります。
宿花さんではA型B型両方の就労支援を行っています。

公式Instagramより)

−A型、B型にはどのような違いがあるんですか?

雇用か非雇用かがちがいます。

通常の事業所での雇用は難しいけど、雇用契約に基づく就労は可能な方を対象とするのがA型事業。通常の事業所での雇用が困難で、かつ雇用契約に基づく就労も困難な方を対象とするのがB型事業です。

A型では一般雇用と同じように給与が支払われるので、給与に見合った働きをしなければなりません。特性による配慮はありますが、基本的に一般の「仕事」と同じ扱い。事業所によっては面接もあるし、断る場合もあります。

一方、B型では能力での評価はありません。定員オーバーしていない限り、希望のところで働けます。

同じ事業でもA型とB型の人で作業分担をしていて、より責任ある仕事をするA型の方の姿を見てB型の利用者さんが刺激を受けることもあるようです。

-すてき!A型、B型どちらの支援も行なっているからこそですね。

悩みながら、ともに成長できる

-支援員として利用者さんと関わる中で、よかったなぁと思うのはどんなときですか?

そうですね。たとえば、はじめは支援学校の延長のような感じで通って来ていた利用者さんが、徐々に仕事に対する責任感を持つなどの成長が見えたときはとてもうれしいです。

いくつか印象的なエピソードがあります。

家では何もできなかった利用者さんが、泣きながら包丁使いを覚え3年目にはグループホームへ。最終目標だった一人暮らしができるようになり、自分でお弁当を作るまでになりました。毎日同じことの繰り返しで嫌になることもあるかもしれないけれど、そういった成長が見えるたびに積み重ねの大切さを実感します。

また、精神疾患を持たれている利用者さんが「これまで色のない人生を生きてきたけれど、ここに来るようになって色がついた」と言われたことがありました。その方はその後一般就労されたんですよ。

-それは感動的ですね!いろいろな特性の方もおられるし、苦労されることも多いでしょうけれど。

そうですね。根本的に人間同士のやり取りなんだけど、やはり特性を持つ方への関わり方で悩むことは多いですね。精神、身体、療育などそれぞれ得意とする他の事業所さんと連携して学びあったりしています。スタッフ同士でも同じですが、一人で抱え込まずに相談してより良い支援を目指していきたいです。

実際にここで支援にあたっている方にもお話を聞くことができました。

特別支援学校で12年教諭として勤めていました。支援学校では人に手助けしてもらうことが多かった子たちが、日々学び成長する姿に驚くことが多いです。多少しんどくても「ここに来たい」「楽しい」とがんばる姿もうれしいですね。

教師という立場から支援員になり、「これをしなさい」から「これとこれ、どちらをやりますか?」と、自分で選択してもらう場面が増えたと思います。指導と支援のちがいですね。

なかなか伝わらないことも多いけれど、わからない子たちじゃない。わかるように成長してもらうことが大切だと思います。

−貴重なお話をありがとうございます!今日お話を伺って、障がいの有る無しに関わらず人と人とが向き合うことの大切さや素晴らしさを実感しました。

大切なことですよね。私たちもここで働いてくれる方のご紹介をコムケアさんにお願いする理由もそこなんです。便利な世の中になりましたが、相手の目を見て話すのは基本中の基本。本当に大事なことだと思うんです。人材紹介の業者さんはほかにもありますが、城月さんはこの基本姿勢を持たれているからコムケアさんにお願いしようって。

−うれしいしいお言葉、ありがとうございます!これからもがんばります!さいごに支援員のお仕事をやってみたいという方に、メッセージをいただけますか。

就労支援という仕事は、利用者さんの人生を応援すること。できなかったことができるようになった姿に感動することもあるし、何より私たち自身が毎日学ばせてもらっています。

とまどったり落ち込んだりすることもありますが、日々、この仕事をやっていてよかったなぁと実感しています。

とくに私は別業種から来たので、ここに来て世界が広がったと感じています。無資格でも大丈夫なので、ぜひ挑戦してみてほしいです。

インタビュアー城月のひとこと

支援員の仕事はまた介護の仕事と違っていますが、どちらにも共通して言えることは、“心を込めて仕事ができるか”どうか!

利用者さんと一緒に成長できる仕事って、なんだかすごく魅力を感じてしまいました♪

支援員のお仕事の奥深さを改めて教えていただきました。
無資格でも未経験でも福祉に真っすぐに向きあえる人ならとても魅力のある仕事ですよ!

あなたもチャレンジしてみては?


【この記事を書いた人】

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宝水幸代

2014年フリーランスのライターとしてデビュー。現在、医療やビジネス系インタビューを中心に、音楽から美容まであらゆる分野に興味を持ち書き分けるマルチジャンル・ライターとして活動中。また各種イベントやコミュニティFM、動画配信番組などのMC、レポーター、モデルとしても活動しており、SNSでは自前の衣装とセルフメイクでさまざまなに変身する「クローゼット・コスプレイヤー」としての発信も。

2023年7月21日公開/2024年4月1日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)