介護業界で働こうと考えている方の中には有料老人ホームを選択肢に入れている方も多いのではないでしょうか。
有料老人ホームの数は2018年の時点で約1万4千もあり(同じ入所系の介護事業所である特別養護老人ホームの数は約5千)、働き手にとって自身に合う条件の施設を選びやすい状況と言えます。
そこで、今回は有料老人ホームに興味をもつ方に向けて有料老人ホームとはどのような施設でどういった特徴があるのか紹介をさせていただくので参考にしてみてください。
有料老人ホームとは老人福祉法(第29条)で以下のように定められた施設のことを言います。
有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であって厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であって、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他の厚生労働省令で定める施設でないものをいう。
引用:老人福祉会
簡単に説明すると次のような条件を満たす施設が有料老人ホームとなります。
※日常生活に必要な支援とは次のようなものになります。
有料老人ホームの役割は大きくまとめると施設に住む利用者さん の生活を支えることです。
利用者さんが安心かつ安全に過ごすことができ、それぞれが持つ生活へのニーズを満たせるように必要な支援とその住まいを提供することが大切な役割になります。
また、上記でお伝えしたような食事や入浴の介護などの日常生活に必要な支援を行うことも有料老人ホームにとって重要な役割です。
有料老人ホームは3つの種類に分かれており提供されているサービスなどが異なります。
介護付き有料老人ホームは「一般型特定施設入居者生活介護」と「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」と呼ばれる2種類があります。
※介護サービスを受けるには外部の介護事業所と契約をして介護サービスを受けることになります。
高齢者向けの居住施設のことで生活に必要な支援などのサービス(介護保険を利用して行われるサービスとは異なる)が行われています。
利用者さんが介護を必要とする状態になれば介護事業所と契約をし、介護サービスを利用しながら有料老人ホームで生活を続けることが可能です。
全国的に見て施設の数は少ないですが、食事の提供などのサービスが行われている高齢者向けの居住施設のことを言います。
※利用者さんに介護が必要となった際には退去が必要です。
介護付き有料老人ホームについては介護保険法に基づいて次のような人員配置の基準が設けられています。
※ただし看護職員は要介護者等が30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人が必要になります。
介護支援専門員が1人以上で兼務が可能→※ただし、要介護者等:計画作成担当者=100:1を標準
機能訓練指導員→1人以上で兼務が可能
介護付き有料老人ホームでは人員配置の基準とともに以下のように必要な資格についても定められています。
住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームの設備は施設により様々です。豪華なゲストルームや図書室などがある施設もあります。
介護付き有料老人ホームは介護保険法で設備の基準が定められており、それに基づいた次のような設備があります。
介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの入所の基準はおおまかにですが分かれており入所している利用者さんの状態は異なっています。
有料老人ホームの種類ごとの、提供しているサービスは次の通りです。
※施設ごとに提供しているサービスの細かな部分は異なる。
有料老人ホームで働いている職員の中心とも言える介護職員は24時間を交代しながら勤務しています。交代は2交代制(24時間を2つに分けた勤務)を採用している施設が多く、日勤と夜勤に分かれている場合がほとんどです。
介護職員の1日(例)を紹介しますので参考にしてみてください。
※交代で休憩や仮眠を行う
※空いた時間に利用者さんの様子や行った介護内容を記録に残す作業をします。
有料老人ホームは同じ入所系の施設である特別養護老人ホームやグループホームと比べると法人や会社、施設ごとの特色がバラエティ豊かです。
例えば、高級感を前面に打ち出したホテルのような施設もあれば、要介護認定や認知症のある方を積極的に受け入れているような介護に特化した施設もあります。
有料老人ホームは利用者さんへの対応が施設によって異なります。
例えば豪華な施設に見合ったきめ細やかな対応を提供している施設や、アットホームさを大切にしている施設など様々です。
自身の性格や介護観を踏まえ高齢者と向き合いたい姿勢や作っていきたい関係性とマッチする施設を探すことができるという魅力があります。
入所系の施設全体に言えることですが、デイサービスのようにサービスを利用する方が日替わりで入れ替わることがないので、じっくりと利用者さんと関り合うことができ関係を築きやすいという魅力があります。
魅力の紹介でも触れましたが有料老人ホームはバラエティに富んでいることから施設ごとに求められるスキルや業務の内容が異なります。
接遇に力を入れている施設であれば高級ホテルで求められるような丁寧なコミュニケーションのスキルが求められ、レクリエーションを重視している施設であれば利用者さんの特徴に合った内容でニーズを満たすことができるスキルを求められます。
同じ有料老人ホームであって施設によって求められるスキルや働き方が異なる点を理解しておきましょう。
夜勤があることがほとんどなので、どうしても不規則な生活になりやすく働き手は体調の管理を心がける必要があります。
有料老人ホームは民間の会社が運営していることが多く、役職の種類や昇進の制度、資格の取得を支援する制度も様々です。
自分の望むキャリアアップのイメージを持っている方には有料老人ホームでの仕事は向いていると言えるでしょう。
「私はこんな働き方がしたい」というビジョンがしっかりとある方には有料老人ホームでの仕事は向いていると言えます。
例えば、深く認知症ケアに取り組みたい方には認知症ケアに力を入れている施設、他にも健康管理を重視している方には医療やリハビリに力を入れている施設などを選ぶことも可能です。
有料老人ホームは他の入所系の施設と比べ利用するために必要な料金が高額な場合が多く、それに見合った満足度の高いサービスを提供しようとしています。
質の高い介護のスキルや接遇の能力を身につけたい方には有料老人ホームでの仕事が向いていると言えます。
有料老人ホームとはどのような施設なのか仕事内容や魅力などを紹介してきましたが参考になったでしょうか。
これまでにも触れましたが、有料老人ホームは施設ごとにバラエティに富んでいるので、自身の性格や希望する働き方を整理しそれに合った施設を選ぶことが可能です。
自身に合った施設を見つけ満足のいく働き方を目指してみてはいかがでしょうか。
2021年1月26日公開/2024年4月1日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)