この記事では、介護業界の人間関係をテーマに
を解説しています。
という方の参考になれば幸いです。
「令和2年度介護労働実態調査の結果」では、介護職の離職理由として「職場の人間関係に問題があったため」が16.6%と2位になっています。
前職をやめた理由(複数回答) | % | |
---|---|---|
1 | 結婚・妊娠・出産・育児のため | 25.0 |
2 | 職場の人間関係に問題があったため | 16.6 |
3 | 自分の将来の見込みが立たなかったため | 15.0 |
4 | 収入が少なかったため | 12.9 |
5 | 他に良い仕事・職場があったため | 12.4 |
6 | 新しい資格を取ったから | 9.9 |
7 | 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため | 9.8 |
8 | 人員整理・勧奨退職・法人解散・事業不振等のため | 8.5 |
9 | 自分に向かない仕事だったため | 7.9 |
10 | 家族の介護・看護のため | 4.3 |
介護はチームで行う仕事です。
利用者さんにより良い介護サービスを提供するために、介護スタッフ同士で情報交換や引き継ぎなど、連携して働きます。そのため、スタッフ同士の人間関係も密になるのです。
また、介護の仕事は利用者さんとの人間関係の大変さもあります。
認知症の方と関われば、怒りや悲しみの感情を抱くことは誰にでもあることです。思うようにコミュニケーションができないことで、イライラすることもあるでしょう。
そのような時に職場の仲間に気持ちを打ち明け、相談することで気持ちを落ち着けられます。
しかし人間関係が悪い環境では負の感情を上手に処理することが難しく、心身ともに疲れ切ってしまうことでしょう。
新人によくある人間関係トラブルを紹介します。
新しい職場での1日目!
謙虚な気持ちで一から学び直そうと思っている時、先輩職員から
「はい、じゃあこの人の排泄やっといて。研修を受けたからできるでしょ?」
「ちょっと待って!私、この利用者さんと初対面なんですけど!」
と、細かな指示もなく任せられる。もしできない時には
先輩職員「こんなこともできないの?」
と責められる。
「ふざけるな!お前が何も教えてくれないからだろ!」
と思っちゃうようなシーンですよね!しかし、実際によくある事例です。
人手不足の現場で研修が十分にできないことはありますが、全てを丸投げにするのはあまりにも無責任です。先輩職員が楽をしたいだけの可能性もあるし、ミスをさせて新人に対してマウントをとりたいのかもしれません。
情報が不十分な人の介護は怪我や事故にも繋がりかねません。
もし、このような先輩がいた場合はすぐに上司や管理者に相談しましょう。
昨日先輩職員から教えてもらった通りに仕事を進めていたら別の先輩職員から
「何それ?違うでしょ?勝手なことしないで!」
とキツめの指導…。
教えてもらった通りにやっただけなのに納得いかない!
「昨日〇〇さんにこのように教わりました!」
と言ってしまえばいいようにも思いますが、新人職員の立場では簡単に言えるものではありません。
また、関係の悪い先輩職員同士から別々に教わると
「あの人のやり方はおかしいから!」
など双方の批判になり、人間関係トラブルに巻き込まれることも…。
先輩によって教えることが違うトラブルを避けるには、職場に書面でのマニュアルがあるかどうかを確かめましょう。
口頭での業務マニュアルでは伝言ゲームのように解釈が変わったり、聞き手の都合のいいように受け取られてしまうことがあります。
求人面接の際に
「仕事を早く覚えたいので、業務マニュアルなどはありますか?」
と確認できるといいですね。
マニュアルの有無も確認できるし、採用側としても熱意がある印象を受けます。
人間関係に悩むのは職員同士だけとは限りません。特に新人の頃には利用者さんとの人間関係に苦戦することも多いです。
職員と利用者さんにも相性があります。
また認知症を患っている方は、その方の症状に合わせた専門的な接し方が重要となってきます。
しかし新人職員の頃は利用者さんの性格や特性などがわからず、悩んでしまう方が多いです。
介護はチームで行うものです。利用者さんのことを理解していくのは重要ですが、どうしても難しい場合は仲間や上司に助けを求めましょう。
利用者さんとの相性が悪い事例については
「自分で解決しなければいけない!」
という考えを持たないことが重要となってきます。
どこに行っても良好な人間関係を築く人もいれば、その逆の人もいます。
人間関係は自分で作るものだと考えて行動するのが良いでしょう。
など、基本的なことをすれば大丈夫です。
幼稚園で習うようなことですが、意外にもできていない人が多いでしょう。
人間関係を決めるのは、結局は自分自身だと考えて行動すると、周囲も少しづつ変わってくるはずです。
可能な限り、就職を検討している職場を調べるようにしましょう。
今はホームページやSNSなどさまざまな情報源があります。
地域に密着した転職エージェントであれば、詳しい現場の情報を持っている場合があるので利用するのも有効です。
施設見学も進んで行い、職場の雰囲気を必ず見るようにしてください。
見学者に対して現場の職員が明るく挨拶をしてくれる施設は、新人に対しても礼儀を持って接してくれる傾向が強いです。
どうしても人間関係に悩んで辛い時は転職を考えることも必要です。
残念ながら自分の力だけでは人間関係の改善が難しい職場は存在します。
自分の心身を壊してしまったら元も子もありません。
安易な転職はリスクがありますが、選択肢として入れておくことは重要です。
転職活動を行い情報を集め
「自分は他の職場でもやっていける!」
と実感を得ることで、もし転職をしないとしても自信を持って働くことができます。
続いて、人間関係の悪化しやすい職場の見極め方を解説します。
もし転職を考えている方であれば、職場を探す上でも重要なポイントとなります。
介護業界自体が人手不足であるため仕方ない側面もありますが、あまりにも人が足りない職場はどうしても人間関係が悪くなりがちです。
人手不足で人間関係が悪くなる理由としては
という点があります。
良好な人間関係には職員同士の気遣い、思いやりなどが重要です。しかし、あまりにも重労働だと職員が疲弊し、仲間を気遣うことができなくなってしまいます。結果、職場では人間関係が悪くなりがちです。
また人手が足りない職場では、どんな人でも雇ってしまう傾向があります。
介護は誰でもできる簡単な仕事ではありません。あまりに適性がないスタッフがいると、そこをきっかけに人間関係が悪くなってしまいます。
中間層がいない職場は、新人が早期に退職をしてしまう職場の可能性があります。
なのかもしれません。
また、長期に働いているベテランスタッフが人間関係を悪化させている原因の可能性もあります。
「ベテランスタッフにとって居心地がよく、新人にとって居心地が悪い職場」
中間層が全くいない職場で人間関係が良好になる可能性は低いでしょう。
提供しているサービスの質は職場の人間関係、職員の定着率に大きく関係しています。
「自分は良いサービスを提供できている」
と自覚できる職場とは、職員の自己肯定感に繋がり生き生きと働くことができます。
自然と人間関係も良好になっていくでしょう。
しかし、利用者さんに対して対応が雑な職場では
「利用者さんの対応が大変だから」「人員が足りないから」
と、スタッフが環境のせいにする傾向があります。他責の人が多くなれば、自然と職場の雰囲気も悪くなってしまうでしょう。
利用者さんに良い介護サービスを提供し、やりがいを持って働くには職場の人間関係がとても大切です。
良い人間関係を築くには、
という2つの努力が必要になります。
この記事が、皆さんの何かのきっかけになれば幸いです。
2022年3月30日公開/2024年4月2日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)