自己PR文では、自分の採用を後押しする文章を書くことが求められます。採用担当者に「採用すれば、会社(法人)としてメリットになる」と感じさせることができれば、完璧です。
しかし、介護業界に就職を希望するケースは人それぞれ。新卒者もいれば、他の介護施設から転職を考えている人がいます。また異業種から介護業界に転職を考えているケースもあります。
それぞれの立場にあった自己PR文をつくることが必要です。では、どんな風に自己PR文を考えていけば良いのでしょうか?
タイプ別に例文を挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
自己PR文は、採用担当者に「この人は採用する価値がある」と考えてもらえる3つのポイントを盛り込んだ文章で構成していくと良いでしょう。その3点について順にご紹介します。
採用担当者にとって必要ないことをどれだけ自己PRとして書き綴っても、採用が決まることはありません。採用担当者が知りたいと思う情報で、自己PR文を構成していくことが大切です。
それぞれの企業によって、またどんな職種を希望するかによっても、採用担当者の理想と人物像は異なります。
例えば、介護職員として現場に携わる場合、体力が必要な場面が少なくありません。高齢者をベッドから車いすに乗せる時も重い体重を支えてあげなくてはいけませんし、車いすで段差を超える時にもある程度の力が必要です。
もちろん、精神的に強いことも大切ですが、まずは体が資本と考えている採用担当者も多いので、これを自己PRに盛り込むことで、採用担当者にアピールできる自己PR文となります。
「部活動で培った体力と精神力に自信がある」など、説得力がでるよう、事実を織り交ぜて文章を作成する工夫が必要です。
介護職には、性格面でのマッチ度も大切なポイントです。介護業界においてはその業務全般が「人のお世話をする」ことで成り立っています。そのため、人を世話する喜びを感じられない方は、介護の仕事に向いていない人材と言えるでしょう。
人のお世話することを負担と感じている人を採用してしまうと、早期の離職にもつながってしまうため、介護業界の採用担当者はこうした性格面も重要視して合否を判断します。
「この人の性格は介護職とマッチしているか?」どうかを、必ずと言っていい程チェックのポイントにしているのです。応募者の性格は採用を決定するカギとなってきますので、自己PR文でしっかりアピールとしていきましょう。
自己PRに必ず書いておきたいのが、会社(法人)にとって貢献していける人材である、ということです。介護関連の資格を取得していること、介護の経験があることは、即戦力として貢献してもらえそうだと印象を持ってもらいやすいので、採用の可能性が高くなります。
また未経験・無資格でも、前職で培った経験やスキル、私生活での経験が介護面でも生かせるとアピールすることができれば、採用担当者の心をグッと掴むことができるでしょう。
経験や資格が無いからといって、最初から諦めずさまざまな角度で自分が施設や企業に貢献していけるPRポイントを探し、自分らしい強みを見つけてください。裏付けとなる体験などを付け加えてみることも忘れないようにしましょうね。
実際の経験を語ることで、より信用性が増すことになります。採用担当者に「ぜひ採用したい!」と思わせる自己PR文をつくり上げましょう!
新卒者の場合、介護職の経験はもちろんのこと、社会人としての経験もありません。そこで、自己分析して「自身の性格面から自己PR文を組み立てる」ことが必要となってきます。
しかし自分で自分の性格を分析するのはそう簡単なことではありませんよね。
そこで注目して欲しいのが、先ほど上でも紹介した、「気が利く」「世話好きである」「体力がある」ことなど、介護業界で活かせそうな性格面を中心としてPRポイントです。
ただし注意して欲しいことが一つあります。それは「採用担当者の視点」で考えること、です。先にも述べましたが、採用担当者が魅力的と捉えることができない内容は、いくら書いても意味がありません。
推したいポイントにつながる経験やエピソードがないか、採用担当者に好印象を持ってもらえるよう、エピソードトークも簡潔に理解しやすいようまとめるようにしましょう。すべてに共通する経験があれば、なお理想的!
部活動、サークル活動などは体力面に結びつけやすくおすすめですし、ボランティアやご家族の介護経験なども性格のアピール点と関連付けることができます。また他にも、学校で取得した資格、ボランティアやアルバイトなどの経験談があれば、それらも加え、より自分の強みをアピールしていける構成にしましょう。
私の強みは、根気よく1つのことに努力、専念できることです。中学生の時に始めたテニス部は球拾いと学年ごとの公式試合にも出してもらえない補欠からのスタートでしたが、大学までの10年間、ひたすら努力を続けた結果、全国大会に出場できるまでに成長することができました。
また、体力にも自信があります。介護は大学を通じた地域のボランティア経験しかありませんが、毎年冬と夏の2回参加していくうちに、日々の作業にも力仕事が多く、そうした人材が必要不可欠であることを知りました。
自分の培ってきた経験と性格がきっと貴社の介護サービス向上の力につながると信じています。「介護職に熱意を持って取り組める、努力と向上心のある方」という貴社の求める人物像にも必ず応えられると確信しています。よろしくお願い致します。
介護職未経験から介護業界への転職を考える場合、新卒者と同様、介護経験を武器にした自己PR文を組み立てていくことできません。
新卒者と違うのは、前職での社会人経験を介護職にも活かせると記述できる点です。これまでに携わってきた仕事の中から、介護職に貢献できるポイントを探すことが大切になってきます。
例えば飲食店などのサービス業では、接客面での気遣いを評価されたことをアピールすることができますし、責任ある立場を任されていたのであれば、社員やパート(アルバイト)の育成、成長面に貢献してきたこともアピールできます。
前職での経験がどのように介護職への転職でメリットなるのか、自信のキャリアを棚卸して探してください。その際には、事実を盛り込んで強みを述べていくことも忘れずに!通り一遍な文章では目に止まりません。
だからといって誇張しすぎて現実味を帯びていない自己PR文も評価にはつながりません。経験を交えつつ、自分を採用するメリットを伝えられる文章を目指しましょう。
前職では、スポーツインストラクターとして働いていました。お客様の笑顔に貢献したいという思いから、高齢者の方々にも、運動器具の使い方や身体機能を維持する運動方法、食事面などの指導を行ってきたのですが、高齢者にとっては日々のジム通いでの何気ない会話や健康のために毎日運動できることが幸せの源であることを学びました。
それからというもの、高齢者向けの講座やお茶会などを企画、開催してきました。予想を超える感謝の言葉をもらうことができ、ジムの運営にも貢献することができました。今後は高齢者ともっと親密に関われる仕事がしたいと思い、転職を決意しました。
未経験ではありますが、前職での経験を生かし、貴社のサービス、高齢者の健康面でのサポートに尽力していきたいです。
介護業界の経験者が転職では、経験と実績が自己PRの重要ポイントです。志望者の中には未経験の方もいますので、介護業界での経験はそれだけで当然有利に働きます。自己PRでは取得している資格とともに、前職での具体的な仕事内容も書いておけば、採用担当者を「おっ」と唸らせることができるでしょう。
面接でも再度聞かれることになると思いますが、細かな仕事内容を書き記しておくことで、採用担当者が実際の現場を想定した選考することができ、大きなメリットになります。必ず仕事の詳細にまで触れて、自己PRを制作していきましょう。
前職の経験や実績と同時に、もう一つ採用担当者が気がかりになるのが、離職の理由です。「同じ介護業界の職に就きながら、どうして辞めることになったのか」は、採用担当者からすれば、今後働いてもらう上でもぜひ聞いておきたい話。
離職の原因には、マイナスな理由もプラスな理由もありますので、離職した理由を尋ねることによって、その人の考えや大まかな人物像が伺えるからです。ただし、自己PR文ではマイナス面よりも「スキルアップなどを理由に就職先を選んだ」など、必ずプラス面を中心に離職理由を書くようにしましょう。
有料老人ホームで10年間、介護の現場に従事してきました。今までの施設では教育制度のお陰もあり、介護福祉士の資格を取得することができましたし、主任として、ホーム長のサポート業務も任されていたので、満足いく職場でした。
しかし、規模の大きな、利用者の多いホームで自分の可能性を試してみたい気持ちが膨らんだため、今回貴社を志望いたしました。慣れない現場ではありますが、懸命に働き、夢であるホーム長を目指していきたいと考えています。
自己PRは、採用を決定する上で重要な判断材料となりますので、できるだけ良いPRにしたいと思うのは当然です。しかし、ありもしない事実で自分をアピールしても、後になってバレてしまえば、採用者側をがっかりさせてしまいます。面接では、自己PRに書かれた内容からより掘り下げた質問をされることが大半ですので、嘘の自己PRを書いたところですぐに暴かれてしまいます。
また運よく採用を勝ち取ったとしても、実際に仕事に就けば偽りの自分はすぐに剥がれ落ちてしまうでしょう。嘘をついてまで自分を持ち上げる必要はありません。自分なりの強み、自分なりのメリットで勝負することが大切です。
さらに、介護業界にとって大切な、礼儀面も常日頃から押さえておくよう心がけましょう。施設の利用者だけでなく、そのご家族と深く関わることになる介護職。社会人としての最低限の常識はもちろんのこと、誠実さや礼節も必要となる職業です。礼儀正しさは自己PR文にも面接時の応対にも現れます。
どんなに誠実で常識人の振りをしても、自己PRの誤字や脱字を修正液でごまかしたり、飲み物のシミをそのままにしていたりする人と面接をしようとは思いません。また、入退室の仕草が雑だったり丁寧な挨拶や受け答えができていなかったりすれば、基本的な礼儀もできていないという印象を持たれてしまいます。
そうなっては、せっかくの素晴らしい自己PRも無駄になってしまいます。最低限の礼儀、常識をもって面接に臨むことも大切です。考えに考えて作成した自己PRを採用につなげる努力も怠らないよう気を付けましょう。
2020年6月23日公開/2021年5月26日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)