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仰臥位(背臥位)とは?特徴や気をつけるポイントを解説します

介護現場でよく使われる「仰臥位(ぎょうがい)」という言葉。
なんとなく「利用者さんの寝る姿勢」とはわかっても、厳密にはどのような意味で、どのようなメリット・デメリットがあるのか詳しく説明できる人は多くないと思います。
そこで、この記事では

  • 仰臥位とはどのようなものなのか
  • 仰臥位の特徴・メリット・デメリット
  • 仰臥位以外の臥位(寝ている姿勢)の種類
  • 仰臥位からの体位変換のポイント

を詳しく紹介します。

仰臥位とは仰向けで横になっている姿勢

画像:けあぴく

仰臥位とは、いわゆる「仰向け」のことで、上を向いて横になっている姿勢を指します。
姿勢が安定しているため、怪我や事故が起きにくい体位であり、エネルギー消費も少ない姿勢です。
仰臥位と同じ意味で使われる言葉に背臥位(はいがい)があります。

仰臥位の目的・メリット・デメリット

画像:イラストAC

仰臥位の目的、メリット、デメリットについて詳しく解説していきますね。

仰臥位の目的

仰臥位は休息時や睡眠時にとる自然な姿勢です。安静が必要な人にも適した姿勢となります。
医療の現場でも診察や処置、外科手術の際に用いられます。

メリット

仰臥位のメリットは体への負担が少ないことです。

床面との指示面積が広いことから「安全な姿勢」「休息の姿勢」とも言われることもあります。

また、

  • 頭部や胸郭(胸をとりまく骨格)を動かしやすい
  • 足が伸びた状態のため腹式呼吸になりやすい
  • 事故や怪我などをしにくい

などの特徴もあるので知識として覚えておきましょう。

利用者さんの身体への負担も小さい姿勢ですが、リスクが全くないわけでもないので、介護士は注意しておく必要があります。

デメリット

仰臥位は楽な姿勢ではあるのですが、胸の動きが制限されるため呼吸機能が低下しやすいです。

また、安定している姿勢だとしても長時間続けることで「後頭部・肩甲骨・ひじ・仙骨部・かかと」の部位に褥瘡(床ずれ)が発生しやすいので注意しましょう。

画像:けあぴく

他にも

  • 気道確保が難しい
  • 舌根沈下(舌が後下部に落ちること)が起きやすい
  • 痰が溜まりやすい

などの特徴もあります。

また、仰臥位の姿勢でよりリラックスするために、クッションを用いて安楽の姿勢をつくることもできます。

興味のある方は【基礎・臨床看護技術:仰臥位のポジショニング】の動画も見てみましょう。

基礎・臨床看護技術:仰臥位のポジショニング

覚えておきたい臥位の種類

仰臥位の他にも介護現場で使われる臥位姿勢(がいしせい)があります。
イラストを見ながら覚えていきましょう。

横を向いて寝ている姿勢「側臥位」

画像:けあぴく

左右の向く方向によって「側臥位(そくがい)」は「左側臥位」と「右側臥位」に分かれます。
側臥位をとると、舌が喉側に落ちたり、唾液が喉に溜まることを防げるため、呼吸が楽になりやすいです。
また、ベット上での排泄や着替え、寝具交換の際にも側臥位がとられます。

うつ伏せと横向きの中間で寝ている姿勢「シムス位」

画像:けあぴく

「シムス位」は、重苦しさを感じにくい寝姿勢で、足もリラックスして伸ばせる姿勢です。
左を向く場合は身体の左側面を下にして左下肢を伸ばし、右下肢を屈曲させ横になります。
妊婦の方が腹部を守りながらリラックスする時や、意識を失った患者の気道を確保する場面で用いられることがある姿勢です。

うつ伏せの姿勢「伏臥位」

画像:けあぴく

「伏臥位(ふくがい)」は、お腹を下にしてうつ伏せに寝る姿勢で、「腹臥位」ともいいます。
喉に詰まっているものを吐き出したり、気道を確保する際に用いられます。
胸部を圧迫するのと、呼吸が妨げられることもあるため、日常的に介護現場で使われることは少ないです。

仰臥位から側臥位への体位変換

画像:けあぴく

ベッド上で頻度の高い介護である、仰臥位から側臥位への体位変換のポイントを解説します。
力任せにやると利用者さんを怪我させてしまったり、職員の腰痛にも繋がります。
しっかりとポイントを抑えておきましょう。

※体位変換が学べるおすすめの動画はこちらです。ぜひ参考にしてくださいね。

介護職さん必見!仰臥位から側臥位の体位変換について
大変じゃない体位変換を学びましょう!
  1. 最初に利用者さんに「これから体位変換をします」と伝えてください。
    なんの前触れもなく体に触れ、体位変換を行うと利用者さんがびっくりしてしまいます。
  2. ベットを適切な高さまで上げましょう。
    一般的に自分の腰の高さまで上げると良いと言われています。
  3. 側臥位にした後にベットの片側に寄らないよう、利用者さんの体を向く方向の逆側へ寄せます。
    まずは背面から手を入れ腰を持ち、もう片方の手は首下から肩を持ち上半身を動かします。
    下半身については上半身と同じように片方の手で腰を持ち、もう片方の手は両膝を曲げた状態で膝部分を持ち動かしましょう。
  4. ベットの片側に寄せて十分なスペースを確保できたら寝返りを行い側臥位にします。
    この際「腕を組む・膝を曲げる・頭を上げる」などし、ベッドと身体の設置面を小さくすることでスムーズに行えます。
  5. 側臥位の姿勢は仰臥位と比べ床面との接地面積が少ないため不安定です。背部や膝の隙間などにクッションを挟むなどし、利用者さんが安定するようにしましょう。

まとめ

画像:写真AC

仰臥位は身体への負担が小さく、怪我もしにくい安定した姿勢です。
しかし安定しているからこそ長時間、仰臥位をとることで褥瘡(床ずれ)や身体機能低下なども起きてしまいます。
仰臥位の特徴を理解するとともに他の姿勢についても学んで、利用者さんに適した介護ができるようにしましょう。

この記事が利用者さんへのより良いケアにつながれば幸いです。

2022年11月30日公開(ひょうご介護アナウンス編集部)