サービス提供責任者は、全ての介護施設にいなければならない職種です。
今回は、サービス提供責任者の仕事内容や平均給与、仕事のやりがいについて見ていきましょう。
サービス提供責任者は、
といったことを行う職種です。
サービス提供責任者には、その名の通り、介護サービス全体を管理する役割があります。
ケアマネージャーと連携しながら、より良い介護サービスを提案し、そのサービスに満足してもらえるよう利用者とその家族、そして直接サービスを提供する介護職員との橋渡しを行うのです。
利用者のこと、そして介護職員のこと、訪問介護サービスのこと、すべてを把握し、確認、調整作業を行っていくことは簡単なことではありません。
しかし、介護施設では全体の業務を理解しているサービス提供責任者が必要なのです。
サービスを提供していく上で、とても重要な役割を担っているといっても過言ではありません。
サービス提供責任者の仕事内容は次の通りです。
まず、訪問介護計画書の作成です。
をもとに、計画書を作っていきます。
訪問介護計画書ができたら、利用者さんとご家族の方に説明をします。
介護に関する専門知識がない方にも、わかりやすく、納得のいくような説明をしなくてはなりません。
次に、介護サービスを提供するホームヘルパーのスケジュール管理、サービス提供手順書を作成します。
サービス提供手順書は、訪問サービス実施にあたっての内容の確認、状況、留意点の確認を行うためのものです。
介護サービスの質を向上させるため、ホームヘルパーの指導、研修なども行います。
ホームヘルパーからの日々の報告や定期訪問を通じて、計画通りに介護サービスが提供されているか、問題が起きていないかを確認します。
介護報酬を請求するための事務作業、ホームヘルパーが休んだ際の代理の仕事なども行わなくてはなりません。
サービス提供責任者の活躍する職場は、訪問介護事業所です。
訪問介護事業所では、必ず一人サービス提供責任者がいなくてはなりません。
また、規模が大きい訪問介護事業所ほど、サービス提供責任者の配置人数が多くなります。
一緒に働く・サービス提供責任者の数が多いほど、仕事を分担したり、相談し会うことが可能です。
一方で、一緒に働くサービス提供責任者が少ないほど、自分の役割が大きくなり、やりがいにもつながります。
自分の希望に合わせて、働く事業所の規模を決めるといいでしょう。
厚生労働省での平成30年度の調査によるとサービス提供責任者の平均給与(常勤の場合の月額)は306,150円です。
しかし、この給与額は、あくまでも平均額となりますので、保有する資格によって給与も変動すると覚えておく必要があります。
介護福祉士の国家資格を持っていてサービス提供責任者として働く場合、給与額も高めですが、実務者研修修了者の場合、サービス提供責任者として採用されても給与は低めに設定されることがほとんどです。
たとえ求人などで基本給与額が同じ扱いとされていても、資格手当が大きく変わるかもしれませんので注意しましょう。
サービス提供責任者の待遇としてメリットといえるのは、やはり資格手当です。
介護福祉士を持っている場合、その資格に対し5,000円から1万円などと手当がもらえ、その他サービス提供責任者としての役職手当が付加されるところも多くなっています。求人欄を見てよく確認してみると良いでしょう。
また、事務作業や調整などを行うサービス提供責任者の場合、時間外労働も多く、手取りに大きく関係してきますので、残業についてもしっかり確認しておくことが大切です。
その他福利厚生として考えられる、家族手当、住宅手当、食事手当、通勤手当など色々カバーしてもらえる事業所も増えています。生活面の待遇についても必ずチェックしておくようにしましょう。
サービス提供責任者は、役職名であって、特別な資格があるわけではありません。
ただし、誰もが就ける職というわけではなく、サービス提供責任者として働くためには、次のような資格が必要になります。
都道府県によってもサービス提供責任者の要件は異なりますが、場合によっては、看護師、准看護師、保健師などの国家資格保有者でも従事することができます。
勤務する事業所のある都道府県のHPで確認してみましょう。
また
はすでに廃止されている資格ではありますが、廃止前に資格を取得している方であればサービス提供責任者として従事することができます。
以前は、ホームヘルパー2級、または介護職員初任者研修修了者もサービス提供責任者の職に従事することができましたが、平成30年度からはサービス提供責任者に就くことはできません。
ただし現在サービス提供責任者として働いている場合に限り、1年間の経過処置が設けられています。その間の介護報酬は30%減とされています。
サービス提供責任者になるために、必要となる経験は特にありません。
しかし、視覚障がいのある方が外出する際にサポートするサービスを提供する事業所でサービス提供責任者として従事する場合、同行援護従業者養成研修(一般課程及び応用課程)を修了することが条件となっています。
ただし、国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修またはそれに準ずる場合は、研修を受ける必要はありません。
また、行動援助が必要となるサービスを提供する場合も、行動援護従業者養成研修課程修了又は強度行動障害支援者養成研修(基礎研修及び実践研修)修了の資格が必要となり、知的障害者、知的障害児または精神障害者の直接支援業務に3年(540 日)以上従事した経験が必要となりますので、注意しましょう。
ただし、2021年3月31日までの経過処置として介護福祉士、実務者研修修了者であって3年以上の介護等の経験を有する者、看護師、准看護師は知的障害者、知的障害児または精神障害者の直接支援業務を2年(360日)以上経験している場合には、行動援護のサービスを提供する事業所でサービス提供責任者として従事することができます。
サービス提供責任者は、訪問介護職員のまとめ役、事業所が提供している訪問サービスを最も把握している役割です。
そのため訪問介護職員と比べ、もらうべき給与は一番高く設定されています。
また、サービス提供責任者として従事する場合、ほとんどといっていい位、資格または役職手当が支給されるのです。
訪問介護にかかわらず、介護職員の給与は低い印象を持っている方も多いと思いますが、やはりサービス提供責任者として働くことは給与面で見ても大きなメリットとなります。
訪問介護のサービスを提供していく上で、サービス提供責任者は重要な役割を担います。
など、単なる作業ではなく、全体をまとめて、利用者さんに良い介護サービスを提供する責任がある仕事です。
求められる役割と責任が大きい分、仕事を通じて大きく成長することができるでしょう。
サービス提供責任者になるために大変なこととして、資格の取得があります。
介護職人実務者研修を修了するためにも、専門の学校などで450時間のカリキュラムを終え、その後修了試験に合格することが必要です。
誰もが挑戦できる資格ではありますが、相応の時間と努力が欠かせません。
サービス提供責任者は、その名の通り責任という2文字が圧し掛かってくる仕事です。
利用者やその家族がサービスの質に不満を感じても、それはサービス提供責任者の責任になりますし、また自分の勤める事業所からサービスを提供するにあたってのすべてを一任される立場になります。
何か問題点が見つかった場合には、その後処理も人任せにできません。しかし、その重圧はやりがいにもつながります。
訪問介護サービスを通じて利用者はもちろんのこと、その家族に笑顔が生まれ、訪問介護職員の仕事への意欲が増すことはサービス提供責任者の仕事をこなしていく上で大きな励みとなるでしょう。
サービス提供責任者に向いている人としてあげられるのは、やはり該当する資格を持っている人があげられます。
しかし、資格があるから誰もがこなせる仕事でもないのも事実です。
利用者やアマネージャー、ヘルパーさん、医療関係者など多くの分野のプロと連携しながら、調整を行っていかなくてはならないため、コミュニケーション能力や調整能力も求められます。
人と話すこと、人の意見を取り入れることが苦手な方は、例え資格を持っていてもサービス提供責任者に向いているとは言えません。
どんな仕事でもそうですが、リーダーとして責任ある仕事に憧れている方も多いと思います。
訪問介護の現場リーダーは、サービス提供責任者です。
リーダーになりたいという人にとっては向いているかもしれません。
サービス提供責任者の仕事は、スキルアップにもつながる仕事です。
ケアマネージャーやヘルパーに限らず、介護に携わるあらゆる職種の方と仕事をすることができ、介護に対する深い知識や考え方、様々な業務を知ることができます。
介護職実務者研修の修了資格を持っている方もサービス提供責任者として、介護の現場で3年の経験を積むことで介護福祉士の資格を目指すことが可能です。
自分のスキル向上のためにも、挑戦してみるといいでしょう。
2020年9月28日公開/2020年10月6日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)