世界中で新型コロナウイルス感染症が蔓延して1年半。日本でもワクチン接種が進んでいますが、テレビやSNS・ネットなどの情報をみていると「自分や家族がもしコロナに感染してしまったら」と心配になってしまいます。
治療費やワクチンは公費負担なので心配する必要はないのですが、気になるのはコロナ感染で休業している間の生活費かもしれません。
ひょうご介護アナウンスを運営するコムケアの親会社である「兵庫福祉保険サービス」は損害保険・生命保険の代理店なのですが、昨年来、個人・法人問わずお客様からコロナ禍における保険についての相談が増えているそうです。
そこで今回は、気になる「コロナ禍におけるお金と保険」についてまとめました。
(※2021/8/31更新)
新型コロナウイルス感染症の治療にかかる費用は基本的に公費負担です。
コロナ感染での万が一に備えて、新しい生命保険や損害保険に急いで加入する必要はありません。今契約している保険を見直して足りないものがあれば検討するとよいでしょう。
今加入している医療保険や定期保険、所得補償保険(就業不能保険)、傷害保険などが、新型コロナウイルス感染症が給付の対象になっているかを確認しておきましょう。
コロナで休業しても加入している健康保険から傷病手当金が給付される可能性があります。申請や手続き方法などを念のため確認しておきましょう。
他にも国や自治体、働いている介護施設などからの給付があるかもしれません。事前に確認しておきましょう。
新型コロナウイルス感染症はもともと「指定感染症」でしたが、2021年2月13日に「感染症法」が改正・施行されて「新型インフルエンザ等感染症」に変更されています。
新型コロナウイルス感染症の治療費は、自治体による公費負担となっています。
たとえば神戸市では以下のように設定されています。
入院費用はいくらかかるのか?
新型コロナウイルス感染症の患者として入院した場合、入院治療に要する費用、入院に伴う食事代の自己負担分は、公費負担となります。
一方、タオルなどの日用品は、患者負担となります。
高額所得者(市民税の所得税割額564,000円以上)は、自己負担額月額20,000円を日割計算していただいています。
【参考:入院前の外来診療時の費用負担】
PCR検査や抗原検査といった検査費用の自己負担分は、公費負担となります。
一方、上記を除く入院前の外来診療に要した費用は、公費負担の対象外です。入所費用はいくらかかるのか?
新型コロナウイルス感染症の患者として、宿泊療養にかかる費用は、全額公費負担となります。
引用:神戸市:よくある質問と回答
「コロナに感染したら治療費がかかるから新しく保険に入らなくちゃ!」という心配は無用です。
基本的に治療については自己負担はないので、足りない費用を今加入している保険でまかなえるかを最優先で考えましょう!
医療保険には「公的な医療保険」と「民間の医療保険」があります。
「公的な医療保険」には、健康保険・国民健康保険・船員保険・共済組合・後期高齢者医療制度があり、働き方や年齢によって加入している保険が違っています。
「民間の医療保険」は生命保険会社などが販売している保険商品で、保障内容は商品によって異なります。
【よくある保障内容】
病気やケガで入院をしたとき、以下の費用がかかります。
万が一入院や手術などで1か月にかかる医療費が高額になった場合には、「公的な医療保険」である健康保険や国民健康保険などから「高額療養費」の給付が受けられます。
ただし「高額療養費」の給付対象となるのは、「1.治療費のうち保険適用される治療」「2.入院基本料」「3.差額ベッド代のうち医師の指示によるもの」「4.食事代」「6.入退院時の公共交通機関を利用した交通費」「7.退院後の通院費(入院と同一月でない通院費について、高額になりそうなときは限度額適用認定証を申請、もしくは医療費控除の対象となります)」です。
治療費の中でも先進医療は保険適用対象外となっており、また「3.差額ベッド代」や「5.生活費」についても「公的な医療保険」は利用できません。
「公的な医療保険」でまかなえない部分を補うのが「民間の医療保険」の役割です。
「公的な医療保険」でまかなえない部分が預貯金で補える場合、「民間の医療保険」に加入する必要はありません。
新型コロナウイルス感染症に限らず病気やケガは誰にでも起こりえることです。大切なお金のことなので、「万が一のときに必要となるお金を、保険で補うのか?預貯金で補うのか?」を考えておきましょうね。
加入している医療保険によって異なりますが、昨年から各保険会社は新型コロナウイルス感染症を対象に含め、見舞金や給付金が支給されるようになっています。
入院については、新型コロナウイルス感染症は「疾病入院給付金支払対象」となる疾病に該当し、医療保険の入院給付金が支払われます。
医療機関の事情や保健所からの指示で病院に入院できず、ホテルでの療養や自宅療養となった場合でも、要件を満たせば入院給付金が支払われるので大丈夫です。
念のため加入している保険会社のサイトで確認しておきましょう!
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を理由に、保険の加入を断られるケースはほぼありません。またワクチン接種をしたからと言って、要件を満たせば加入している医療保険がおりなくなることもありません。
こちらも加入している生命保険会社・損害保険会社のサイトで確認しておくと安心ですね。
海外旅行保険とは、海外旅行中の事故や病気などの治療費や死亡・後遺障害が補償されている保険です。旅行日数に合わせて契約を行います。
他人にケガをさせたり他人の物を壊したときなどの賠償責任、鞄などの手荷物が盗まれたときなどの携行品損害、海外旅行先のケガや入院で家族に来てもらうときの救援者費用などもカバーしている海外旅行保険の商品もあります。
ツアー会社から海外旅行保険を勧められたり、空港の出発カウンター近くで海外旅行保険の申込み窓口を見かけたり、海外旅行に行くときに聞いたことがある方も多いかもしれません。
クレジットカード付帯の海外旅行保険もあります。「クレジットカードについているから新たに加入しなくても大丈夫!」と安心するのは禁物です。
クレジットカード所有でOKの「自動付帯」と、年間一定額のクレジットカード利用でOKの「利用付帯」がありますので、自分が使っているクレジットカード付帯海外旅行保険がどちらなのか確認しておきましょうね。
またクレジットカード付帯のものは補償内容が薄かったり、現地での治療費の一時立て替えが必要だったりすることもあります。
旅行や留学・駐在に行く前にしっかりと準備をして、旅先では余計な心配をせず安心して楽しみましょうね!
海外旅行保険は前述したように、旅行や留学・駐在時のケガや病気などの治療に対して保険がおりる仕組みです。
旅行開始後に発病しその原因が旅行中にある場合、旅行終了後72時間を経過するまでに医師の治療を受け、かつ継続して治療が必要となった場合海外旅行保険の補償対象になります。
でも新型コロナウイルスのような感染症の場合、潜伏期間がありすぐに発症しないこともありますよね?
新型コロナウイルス感染症が蔓延して以降、生命保険会社・損害保険会社各社は保険商品の改定を行っており、多くの保険商品において新型コロナウイルス感染症を補償の対象としています。海外旅行保険もそのひとつです。
旅行中に「特定の感染症」に感染し、海外旅行終了日から30日までの間に医師の治療を受けた場合には海外旅行保険の補償対象です。
新型コロナウイルス感染症については「特定の感染症」に該当し補償の対象となっています。
新型コロナウイルスへの対応については、今後も生命保険会社・損害保険会社の改定等が出てくる可能性があります。
ワクチン接種が進み、旅行や留学・駐在などで海外に行けるようになったときには、海外旅行保険の最新情報をよく確認しておきましょう!
新型コロナウイルス感染症は誰でもかかる可能性がある病気です。2021年8月現在ワクチン接種がまだまだ行き届いていない日本では、感染で仕事を休まないといけなくなる心配が続いています。
治療費については前述のように「公的な医療保険」でほぼまかなえますが、心配なのは仕事を休まざるを得なくなったときの生活費ですよね。
まず会社員や公務員であれば、健康保険や共済組合から「傷病手当金」が支給されます。
新型コロナウイルスに感染し、無症状であったとしても休業せざるを得ない場合にも支給の対象です。
しかし1点注意が必要です。
傷病手当金はあくまでも労働者自身の病気やケガで仕事ができないときに支給されるものなので、家族が感染して濃厚接触者となり仕事を休まざるを得なくなった場合には支給されません。
自営業やフリーランスで国民健康保険に加入しており、勤務先に雇用され給与の支払いを受けている方は、新型コロナウイルス感染症の療養で仕事ができないとき、各自治体から「傷病手当金」の支給が受けられます。
自身が事業主の方については「新型コロナウイルス感染症傷病手当金の創設」がされている自治体が一部ありますが、神戸市では対象外となっています。
▼【参考】神戸市:新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等への国民健康保険の傷病手当金について https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/kurashi/support/insurance/shobyoteate.html
新型コロナウイルスに感染し、感染経路が仕事中であることが明らかだったり、感染リスクが高い業務に従事していたりする場合には、労災保険の給付対象になります。
▼【参考】厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 新型コロナ 請求勧奨リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000698300.pdf
介護事業所が民間の法人保険(※)に加入していて、福利厚生の一環として新型コロナウイルスに罹患した介護スタッフには見舞金などを支給している介護事業所もあります。
(※)法人保険とは、法人(企業や事業所など)が契約者となる生命保険・損害保険の総称で商品名ではありません。
所得補償保険(就業不能保険)は損害保険会社(生命保険会社)が取り扱っている保険商品です。
万が一の病気やケガで働けなくなった場合、それまで得ていた所得の損失分を補うことができます。つまり、治療費ではなく生活費の足りない分をまかなってくれる保険です。
多くの損害保険会社・生命保険会社は、所得補償保険(就業不能保険)も新型コロナウイルス感染症を補償の対象として改定を行っていますので、気になる方は一度サイトで確認しておきましょう!
最初にまとめた5つのポイントをもう一度。
新型コロナウイルス感染症の治療にかかる費用は基本的に公費負担です。
コロナ感染での万が一に備えて、新しい生命保険や損害保険に急いで加入する必要はありません。今契約している保険を見直して足りないものがあれば検討するとよいでしょう。
保険のご相談は兵庫福祉保険サービスへどうぞ(*^^*)
今加入している医療保険や定期保険、所得補償保険(就業不能保険)、傷害保険などが、新型コロナウイルス感染症が給付の対象になっているかを確認しておきましょう。
コロナで休業しても加入している健康保険から傷病手当金が給付される可能性があります。申請や手続き方法などを念のため確認しておきましょう。
他にも国や自治体、働いている介護施設などからの給付があるかもしれません。事前に確認しておきましょう。
病気やケガへのリスクに備えるためには、「公的制度」→「企業や事業所からの給付」→「民間の保険」の順で考えることが大切ですね。
もし新型コロナウイルスに感染してしまったら、自分が加入している医療保険の給付対象になるかどうかをまず確認しておきましょう!
2021年9月10日公開(ひょうご介護アナウンス編集部)