社会福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」において「専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連携及び調整その他の援助を行うことを業とする者」と定義されています。
つまり、なんらかの事情により日常生活を送ることが困難になった方の相談ごとに対し助言・指導をしたうえで、保健医療サービス・福祉サービスなどとの調整やサポートを行うのが社会福祉士の仕事です。
現在は一般的に、社会福祉士の国家資格を持って福祉の相談・支援を行っている人を「ソーシャルワーカー」と呼ぶことが多くなっています。
働く職場や業務内容によって社会福祉士はさまざまな名称で呼ばれています。「ソーシャルワーカー」「ケースワーカー」「スーパーバイザー」「指導員」「生活相談員」などの名称を耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし「ケースワーカー」「生活相談員」など福祉関連の相談業務を行っている人の中には、社会福祉士の国家資格を有していない方もいます。
「社会福祉士」を名乗るためには国家資格の取得が必要です。しかしこの資格は「業務独占資格」ではなく「名称独占資格」。そのため同じような福祉関連の相談業務を行っているにも関わらず、「社会福祉士」ではない、ということが起こりえるのです。
社会福祉士になるためには国家試験に合格する必要があります。
受験資格を得る方法は「福祉系大学等で指定科目を履修し卒業する」「相談援助4年以上の実務業務と1年以上一般養成施設で学ぶ」などです。社会福祉士の資格を有していると、社会福祉主事・児童福祉司・身体障害者福祉司・知的障害者福祉司などの任用資格を取得する際に受験条件を満たせます。また社会福祉士と同じ国家資格である精神保健福祉士を受験する際には、共通する科目が免除されるメリットがあります。
公益社団法人社会福祉振興・試験センターによると社会福祉士国家試験の合格率は29.3%(令和2年)。社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士は福祉系三大国家資格と言われていますが、介護福祉士の合格率は69.9%(令和2年)、精神保健福祉士の合格率は62.1%(令和2年)となっており、社会福祉士の資格取得は福祉系の中では難易度が高い資格と言えるでしょう。
社会福祉士の主な就職先は、福祉事務所・医療機関・司法機関・児童相談所・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・高齢者福祉施設などさまざま。
社会福祉士は独立型社会福祉士に登録し地域を基盤とする独立した立場で開業でき、相談・支援を必要としている方に専門的知識をもって直接対応することができます。また実務経験を積んで社会福祉施設長資格認定講習会を受けることで、特別養護老人ホームの施設長へのキャリアアップが狙える点もこの資格を取得する魅力のひとつです。
社会福祉士の仕事には、大きく分けて2つの仕事があります。
福祉サービスを必要とする方の相談相手になることは社会福祉士の重要な仕事です。相談者のニーズや問題を解決するため、公的サービスや施設などを検討・調整し具体的な解決策を提案していきます。
障害者支援や高齢者介護、生活保護、児童福祉、DVなど福祉を必要としている方は複雑な状況に置かれていることが多いため、福祉分野はもちろんのこと介護や医療など多くの知識を備えておく必要があります。
働く職場・施設に応じて業務内容は異なります。
たとえば高齢者施設に勤務する場合、ケアマネージャーとともに一人ひとりに合った介護計画を立て、その計画通りに介護が行われているかを見守り、改善が必要な場合は再度計画を練り直します。社会福祉士が外部サービスや医療・行政機関との調整役となって要介護者との橋渡しをするのも仕事のひとつです。
また介護施設で働いているケースでは、介護スタッフの業務も兼任し空いた時間に要介護者のお世話に従事することもあります。
社会福祉士は医療機関・福祉施設・福祉事務所などさまざまな職場で働くことができます。施設・事業所の規模や地域、雇用形態、経験年数によって給与や福利厚生面に違いがあります。また公的機関で公務員として働く場合と民間企業で働く場合も年収に差が出ています。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターの「平成27年度社会福祉士および介護福祉士就労状況調査結果」によると、社会福祉士の平均年収は377万円(平成26年度)です。
「正規職員」の場合平均年収は男性454万円、女性380万ですが、「非正規職員(常勤)」の場合平均年収は男性315万円、女性277万円となっています。年齢別で見ると、20代の平均年収295万円に対し50代では平均年収475万円です。
社会福祉士は障害を持つ方・DV被害に遭われた方・児童虐待を受けた子どもたち・高齢の方などあたりまえの日常生活を送ることが困難になった人たちの相談を受けるお仕事です。
関係各所との連携やパイプ役となり、その人たちの要望を叶えあたりまえの日常を取り戻せるようにサポートしていきます。対象が広範囲であるため豊富な知識と経験が求められますが、その分やりがいも多い仕事です。実際に社会福祉士として活躍している方達の意見をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
社会福祉士が担当する方の悩みは多岐にわたり、中には解決が困難と思われるケースもあります。
しかし幅広い知識を生かして解決策を見い出し、相談者が喜ぶ笑顔を見ることができたときは本当にやりがいを感じられます。人生を一変させられる社会福祉士の仕事の責任は重大。しかしその分大きな達成感が得られます。
相談者にとって切羽詰まった困難な問題を解決したときほど感謝の言葉やその笑顔が励みになり、これからも的確なアドバイスができるようにもっと努力していこう!と感じられる仕事です。
社会福祉士の相談相手は、障がい者・要介護者・生活困難者・児童・DV被害者など多種多様という特徴があります。
人生において困難に直面した人を救うことは簡単なことではありませんが、仕事を通じて日常生活に困っている方々に手を差し伸べることができるのは、社会福祉士の仕事の魅力であり大きなやりがいです。
最近では外国人労働者や児童虐待など福祉を必要とする社会問題も増えています。時代の変化に伴いさらに幅広い分野に従事できる点も素晴らしい仕事と言えるでしょう。
2020年6月26日公開/2020年7月10日更新(ひょうご介護アナウンス編集部)